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【訃報】マレーグマ(札幌) 追記あり [ハシビロコウ他動物]

2015年7月27日

今朝方twitterを見て仰天した。

「マレーグマのウッチーが死亡しました」

われは土日はPCを立ち上げぬゆえ、全く知らなんだのである。
このブログ主にリンク許可を得ようとしたのであるが、コメント欄が閉鎖されておりメアドも無きゆえ果たされなんだ。(許可頂いた。2015/07/28)
ともかく、ただ愕然とするばかりであった。
 
ウッチーは野生由来の30歳メスである。マレーグマとしては高齢中の高齢、飼育下では普通に生きても20代半が寿命である。つまりばあさんである。
円山は繁殖を目的に、このウッチーをウメキチと同居させ、結果的に死に至らしめたのである。
この度の同居、円山言う処の「同居訓練」には、明らかに無理がある。

まず前述の通り、年齢。
仮に発情を保っていたとしても(ヒトでもたまに60代で出産等というのがあるが)、マレーグマの30歳は80歳超えに匹敵するであろう。当然、受胎は相当難しい。というか無理である。百歩譲って受胎したとしても、超高齢出産には大変なリスクが伴う。
そしてヒトがそうであるように、動物においても、高齢者は変化を嫌い、好みが偏向する。視力なども衰えているであろうし、周囲に対し気を配る能力が落ちていると考えた方が良い。動物は「近頃物があまり見えなくて」「あらそうだったっけ、気付かなかった」等とは言ってくれぬのであるから、これは飼育側が充分に斟酌し判断すべき事柄である。但し、無能な担当者は、問題無しと判断する可能性が高く、そう判断したからこその今回の惨劇となるのであるが。
次に、相性。
これに先立ち、先月にも「同居訓練」が行なわれたる事が、冒頭にリンクしたブログの過去記事から知れた。その記事を見て、われは呆然としたり。おいしい果物を二名分、別々の場所に分けて出し、二名は「同居」させられた。最初は友好的に互いの匂いを嗅ぎ合ったりしているのであるが、食べ物に気を取られたウッチーがウメキチを振り払ったところから、事態は急転直下、最悪の暴行に変わるのである。写真を見ると今回同様、相当ひどいものであるが、担当者はこれを「よくある力比べのちょっとエスカレートしたもの」程度である、とブログ主に説明したらしい。一体、日本中のマレーグマの誰が、ちょっとした力比べで満身創痍になるのか。この時点で、担当者は既に終わっている。また、ウッチーの振り払い行為であるが、これこそ高齢者の典型的態度である。動物は基本的に快不快原則が優先する訳であるが、他の個体への気配り(「この相手、大丈夫かな」と様子を窺ったり、力関係を推し量ったりする事)よりも目の前の果物の方が優先してしまうのは高齢者であればむべなるかなといった心理である。そもそも放飼場を交代で使用している場合、どちらもそこを自分の縄張りと認識するのであって、互いに「自分の縄張りに別のやつがいる。これは友好的か敵か」と腹の底を探り合うのだが、片方がそうした能力の落ちている高齢者であるのに、そういう緊張の場に、集中を切らす食い物を置くなど論外である。二か所出そうが関係ない。「あたしはこっち、あなたはあっち」が通用するのは、互いの存在に慣れた同居者同士の場合だけである。そして単なる小競り合いではなく、既にこの時点でウメキチはウッチーに本格的な(つまり本気の)暴行を加えており、両者の関係性は決定的に最悪となった。
そうした前振りがあるにも拘わらず、担当者は又しても「同居訓練」を断行した。そして当然の事として、ウッチーは再び惨い暴行を受けた。リンク先には当時の模様の動画がリンクされているのだが(見たらトラウマになりそうな暴行ゆえ、冷静に見れぬ向きにはお勧め出来ぬ)、これだけ苛烈な暴行が加えられているにも拘わらず、この短くない動画の時間中、飼育担当者が事態を収拾しようと動いた気配は微塵も無い。担当者が前回の暴行を完全に軽視していた事は明らかである。「よくある力比べ」と軽く言うが、担当者は本当のよくある力比べを実際に見た事があるのか、極めて疑わしい。
また、こうした試験同居の場合、上手くゆかず険悪になってしまう事は、当然ながらあり得る。その場合の方策が、今回は全く見えぬ。一旦両者を放飼場に放てば、ヒトが割って入る訳にはゆかぬのである。それは明らかなのであるから、ではどうするか、をきちんと決めておかねばならぬ訳だが、この動画を見て、担当者がきちんと方策を手立てしたとはとても思えぬ。仮に方策があったにせよ、それは全く機能しておらぬ訳で、機能せぬ方策は方策にあらず、単なる実効性無き愚策に過ぎぬ。


<追記>** 本記事UP時には把握しておらなんだとんでもなき暴挙が行なわれておったゆえ、以下追記する。 円山は、なんと3頭同時に放飼場に出しておった。 年齢よりも何よりも、クマのペアリングにこれは有り得ぬ。 しかも理由が、なだめ役だの何だのと、全く意味不明な上に二転三転しており、つまりは何の根拠も無く3頭同居の「訓練」を行なったという事になる。暴挙、軽挙、愚挙以外の何物でもない。われはツイッターでこれを目にし、怒りの余り眩暈を覚えたり。当該担当者は、他にも「力関係をはっきりさせないと(ペアリングが)進まない」という主旨の事を常連来園者である冒頭のブログ主に言ったと聞く。 この担当者は面倒くさがりなのか? ウメキチは成熟しつつある男であり、力関係がじきに逆転する事は明らかである。そしてコアラじゃあるまいし、基本的に力任せの強姦による交尾はせぬ。群居動物であれば、受入や地位の確定の問題があるから、複数頭で見合いさせる事はあるが、マレーグマはクマなのである。かなり脈のある様子になりつつあったウメキチとハッピィの関係は、ウッチー受難の一件で一変した。ウッチー死亡後のペアリングにおいて、ハッピィはウメキチに対し、完全に委縮してしまい、なすがままにされておったとブログ主は書いている。担当者が目指したのは、こんな関係だったのか。であるとすれば、正にどシロート以下である。

結果的にはウメキチがウッチーを殺した事になってしまったが、無論ウメキチには何の落ち度もない。全ては飼育側の責任であり、ウッチーを殺したのは担当者である。超高齢者をつかまえて、一度同居に失敗している事を軽視し、自然受胎を目論む時点で終わっている。野生由来であるから出来れば仔を取りたい、というのであれば、人工授精という選択肢もあった筈である。高齢者に麻酔は危険だが、同じ死亡リスクなら、少なく共痛みと恐怖を味わわせる事無く済ませる事が出来る。ウッチーをあれ程酷い目に合わせ死亡させる理由には全くならぬ。担当者は日頃きちんと動物を観察していたのか。繁殖についてしっかり研究していたのか。他のスタッフや、経験豊富な他園の意見は聞いたのか。

われは同様の事を既にtweetしたのだが、念の為ここにまとめておくものである。
円山は数年前には不注意で仔熊を成体メス*に殺させた。われは知らなかったが、今年はコツメカワウソを溺死させたという。そしてウッチーをウメキチに殺させた。そんな事をさせるために、上野はウメキチを送り出したのではない。

死んだ者を生き返らせる事は出来ぬ。失いし命は二度と還らぬ。
反省無き者に、飼育の資格は無い。円山は経緯とウッチーの死因を公にせねばならぬ。もうこれ以上殺さぬために。

全く、どいつもこいつも。
今日びは飼育係になるのは非常な難関の筈である。であるのに何故、斯くも己がひとりよがりに酔い、動物を軽視する輩が後を絶たぬのか。
 


* 当初オスと書いたが、メスが正しいとのご指摘を頂き訂正した。28/07/2015
** 肝心な事を追記した。31/07/2015