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第二章 [朝青龍]

引退相撲興行の最後は、男女ノ里による渾身の弓取り式であった。「渾身の」と記せしが、正に一世一代の気の籠りし弓取り式は、横綱朝青龍引退相撲の最後を飾るにふさわしき、見事なるものであった。男女ノ里といえば、土俵入りより前であったか、つい先日髷を落とせし輝面龍氏の、花道付近(客席側である)に立つを見、声をかけ挨拶せり。思えば輝面龍氏には、わが朝青龍の付け人頭を長年お務め頂き、僭越ながら自然と「大変お世話になりました」とわが口をついて出たり。スーツ姿の氏の、穏やかで実に良き感じであった。氏の今後の人生に幸あるを祈念する。
 
 
話を戻し、様々なる感慨と共に、われはパーティへと移動す。7名の集団の、パーティまでの空き時間を喫茶に費やせど、平生と異なりさすがに皆言葉少なし。1名の再合流を待ちてのち、全8名にて地下鉄を使う。さすがに開場ぎりぎりの時間であるから、車内の空きをり。座りて移動の内、引退相撲後のわれらの緊張も徐々に解け来たり。駅より少しく歩きて会場に達す。クロークに荷物を預け待ちをれば、安馬の、モンゴル服の中年婦人と共に来場す。婦人は背高く堂々たる体格であって、上背は安馬と殆ど変わらぬ。安馬が母御であろうか。「ご婚約おめでとう」と口ぐちに投げかけ、安馬も笑顔にて応ず。
われらも受付を済ませ、会場入りする。既に立錐の余地も無き混み様であるが、人を縫うて、一般人最前列付近へと進む。柵の有り、それより前は招待席であるゆえ、この当たりが位置的に限界であろう。正面には舞台の設えられており、開始迄、モンゴル音楽の生演奏が行なわれておった。さて開始となりて、新生朝青龍登場である。なかなかモダンな髪型となっており、安堵せり。パーティの内容については、記憶の順不同であるが、九州後援会長挨拶、樽割り(を何と呼ぶか度忘れした......)、大タニマチよりのアドマイヤ贈呈(剛毅である!)、モンゴル力士一同よりの記念品贈呈(安馬デザインの木彫)、モンゴルの少女二名による軟体技披露、歌手二名の歌、ああ猪木もあったな、来賓の何名かの挨拶、折々に朝青龍挨拶、などなどであるが、白眉は何と言うても、「朝青龍の歩み」映像であろう。恐らく当の朝青龍は、客がこの映像を見ておる間にTBSのお笑い記者会見に臨んでおったと思われる。それはともかく、この映像は実に良く出来た構成の、見飽きぬものであって、これを発売してくれぬものかと切に思う。

馬主アサショー.jpg
☆馬貰いしアサショー


われは呑まず喰わず立ち通し舞台見っぱなしでパーティを終えたり。無論疲れたるが、ともかく朝青龍第二章無事開始に立ち合うを得たるを、幸いなりと思う。今後も「朝青龍」を使うかどうか知らぬが(師匠の朝の字は入っておるが、小錦と違うて部屋に属する名でなきゆえ、使うに不都合はあるまいと想像する)、いずれにせよ、われにとりては永遠の大横綱朝青龍である事に変わり無し。
 
 

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