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仔猫の11月(下) [同居猫]

さて二回目の予防接種より10日を経、いよいよ仔猫ニャン太の去勢手術日となりぬ。

そうとは知らぬニャン太の、猫棚座椅子の定位置にて朝寝を決め込みしところを、やんわりとだまし起こし、寝呆け眼にてぼよよ~んとなっておるまま、猫毛布敷きのキャリーに寝かし込み、なるべく振動を与えぬ様そろりそろりと運ぶ。これが奏功し、T病院に達して尚ニャン太は寝呆け眼であった。そのまま軽く診察を受け、入院である。実は去勢手術は基本的に日帰り可なのであるが、退院後異変のある場合困るゆえ、一泊入院としたのであった。食事について聞かれたるゆえ、「基本ドライであるが、出された物は何でも食す」旨を伝えたり。これまで、通常の食事であろうが試供品であろうが、全く問題無く食すニャン太であった。いまだぼよよ~んとしておるがゆえ、看護師さんに抱かれておっても気にして(または気づいて)おらぬニャン太を残し、兄妻とわれは帰宅せり。

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☆何も知らず寝入っておる
 
 
夜となりて、「今頃は既にころたまも取られておるかのう」等と喋っておるところ、T病院より電話のあり、重篤なる急患の担ぎ込まれたるゆえ、ころたま切除は翌日曜になるという。何しろ急患は、天麩羅を揚げておる油に飛び込んでしもうた猫である。犬猫というものは、頭上で何かやっておると、興味を持つ。犬はまだ良い、せいぜい立ち上がりて覗く程度である。しかし猫は飛ぶ。多分その伝で、われも見むと飛び乗りてみれば運悪くそこは天麩羅鍋だったのであろう。ううう、気の毒なり。そりゃ当然ニャン太がころたまどころではなく、切除は翌日に持ち越されたり。

さて翌日夕刻となりて、T病院よりころたま切除無事終了との連絡の来たり。この日は日曜であって、本来術後の急変等に備え一泊入院としたがゆえ、遺憾ながらニャン太にはもう一晩泊まりてもらう事とし、結果的に、ころたま切除如きで二泊三日の入院と相成った。翌月曜、兄妻が勤務の都合により、われ帰宅後ニャン太を迎えに行く。引取に際しては、間違い無き様、特徴の問われたるゆえ、「柄はキジ白、鈴付き赤首輪、目は外から中心に向かって茶から緑のグラデーション、左後足かかとにおさかなマーク」と答える。形状的にはかなり怪しいが、無理矢理魚と呼んでおるわれらである。

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☆強引に「おさかな」


程なく院内移動用キャリーにてニャン太の運ばれ来たり。思いの外大人しく、静かにしておる。看護師さん曰く、全く手はかからなんだが、食事は一切手をつけず、敷物のタオルをすべてひっくり返し、ケージ奥に固まり籠りたりという。恐怖の成せる業なり。恐らくこの二日半というもの、家族(われら)に置き去りにされ、見知らぬ処に他の動物と共に(ケージこそ別だが)閉じ込められ、一体どうなりしか不安で一杯であったに相違なき。二泊三日にて帰宅するを得るニャン太は良いが、同様の状況の挙句ガス室送りとなる処分動物を思えば、言葉も無し。キャリーより抱き出されしニャン太を受け取り、持参の布キャリーに導けば、とぼとぼと歩き入る。家に着きたれば、尚とぼとぼと歩き出で、暫し家内をとぼとぼと歩き回り、他の家族にも次々に出会えば、ようやくに帰り着きたるを実感せしものか、二階居間の座椅子に座りて落ち着きたり。帰宅したる兄妻に薬を渡し、様子を見ておる内に、兄の帰宅し、ニャン太に会いて曰く、
「ニャン太~。ニューハーフになってしまったんだな~」
2~3日は、若干の不具合を覚えたか、切除跡を気にし手入れを怠らぬニャン太であったが、一週間、薬を真面目に服用し続け、すっかり全快、ころたま抜きでも以前同様、切除より一年を経し今に至るも、やんちゃを極め続けるのであった。

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☆そんけーするアサショーと(「あこがれにゃ」)
 
 

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