SSブログ

仔猫の10月(下) [同居猫]

さて、仔猫ニャン太はわが猫にあらざれば、その健康管理に於いてわれは大いに気揉めど、大々的に申し立てる訳にはゆかぬ。ただ折々に、非常に遠慮がちにおずおずと、はかなき進言を繰り返したるものであった。
 
まず、3月齢にて参上の際に予防接種につき尋ねたるところ、しておらぬという。元飼い主によれば、「完全室内飼いだから」とのことであった。しかし何のはずみで外出せぬとも限らず、ヒトも靴で何を拾って来るか分からず、拙宅周辺には野良猫も居る。ゆえに、とりあえず1年目の予防接種だけはした方が良いのではないか、と薦めるわれであった。が、兄が妻にとりては、最大の情報源というか猫飼いの師たる元飼い主の意見をまず第一に尊重するものであって、シロートと目されしわが意見の劣勢なり。

また、食事については、既に記したる通り、当初トイレと共に元飼い主より送られ来たる「ピュリナONE」を食したり。通常のピュリナと違い、「ONE」の方は一応所謂プレミアム・フードに数えられてはおるものの、われとしては安きものと高きもので健康に対する配慮の異なるというメーカーは信用ならず、「ONE」の切れ頃を見計らい、地元のペット用品屋より入手可能なる、「サイエンスダイエット」の仔猫用を急ぎ購入、「とりあえずこれを与えられたい」と二階に渡す。同時に秤も購入、食事は必ず計り与えられたしと進言するも、フードはともかく秤の方は、当初元飼い主より「だいたいこれぐらい」と指示されし嵩(嵩である。重量にあらず)を基礎に、目分量にて行なわれ、決して使わるるを得なんだ。折々に、「計ってる?」とおずおずと聞くわれであったが、都度「大丈夫だよ、いらないとちゃんと残すし」という実に楽観的なる答の空しく返りたり。

こうして4月齢は過ぎ、早10月となりぬ。中旬には仔猫は5月齢となる訳である。兄が妻に、去勢についての見解を尋ぬれば、するつもりだが元飼い主が1歳になったらで良いと言っている、と言う。われは暫し考え、「ねこの気持ち」を購読することとした。われの差し入れたる数冊の猫の飼い方本は、全く参考としてくれぬゆえである。われ個人は動物の扱いに関するhow to 本というものは参考以上ではないと考えるが、医療や食物に関しては非常に有用である。ちょうど10月号が不妊手術特集にありしゆえ、ようやくに理解が始まり、ともかく予防注射を受け、その際不妊手術(ニャン太の場合は去勢)のタイミング等を相談することとなる。

病院を決めるに当たり、われはnetにて、兄が妻は口コミにて、情報収集を行なうが、双方の結論が等しくT病院となりしは幸いであった。拙宅のある町には、われの知るだけで5件の動物病院のあり、T病院は2番目に近く、拙宅より5分とかからぬのである。一番近き病院は拙宅より3分かからぬのであるが、兄が妻の聞き込みによると、誰かが担ぎ込まれたる際、医師の「こんなの診れないー(汗)」と言いたるそうで、専門外であったのやも知れぬが、斯様なる処には到底行けぬ。ということで、月誕生日の一週間前の土曜、ニャン太は第一回予防注射を受けに行った。仔猫であるから、普通の旅行用ショルダーバッグにて運ぶ。狭き待合室にて暫し待ちしのち、診察室に入る。われニャン太を抱え、兄が妻のバッグを抱えたる。まずは計量である。診察台が計量機となっており、そこに乗せる訳である。ニャン太は初外出、初来院にも臆せず、診察台に乗せれど、辺りをきょろきょろ見回し、興味を持ちし物を見に行こうとするゆえ、待て待てと抱き上げる、の繰り返しであって、暴れはせぬのであるが、計量は難儀であった。体重は、3.2キロであった。続いて検便(尻に棒を突込む)ののち、院長の登場せり。院長は開口一番「でかいなあ!」と言う。
院長「でかいなあ! 6ヶ月?」
わし「いや、来週5ヶ月になりま.....」
院長「でかいなあ!
……………どうもかなりでかいらしい(汗)。と、院長は「爪切っていい?」とのたまいつつ、既にすぱすぱと爪を切り始めておる。実にテンポの良しというか早し。触診の際、「あっ腹に脂肪ついちゃってる!ちゃんと食事計って上げてる?」と院長ののたまいし。われ内心「だから言うたに」と思う。何を食べさせておるかと問われたるゆえ、兄が妻の答えたるに、院長の曰く「もう仔猫用はやっちゃダメ。仔猫用は脂肪分多過ぎだから、もうこんなにでかくなったら大人用でいいから」。
……………やはり相当でかいらしい(汗)。ともあれ、腹以外は至極健康であって何よりであった。最後に目的の予防注射である。さっくりと終了し、ニャン太は実に素直にバッグに入り、5分後には家に戻りたる。ニャン太の早速にわが室に赴き、猫棚に一気登りを試み、落ちてきょとんとしたり。爪の短きが原因なり。爪切りは、兄が妻の手により、ヒト用爪切りにて月に一度程度軽く行なわれておりしが、軽くであったゆえ、此処迄露骨にぼったりと落下するということはかつて無し。だが院長は熟練の腕にて、あと言う間にすぱすぱすぱとギリギリのセン迄切り落としたり。うーむ今後は切らぬ様に申し入れるべし、と兄が妻と頷き合うわれであった。暫し遊びしニャン太であったが、どうも具合の悪くなりて来たる。ヒトも同様であるが、予防注射の副作用であった。かくてこの日は、その後夕食も摂らず、わが室にて伏せることと相成った。

見舞.JPG
☆わが母の見舞いを受けしニャン太

夕刻となりて、腹の脂肪に反省せし兄が妻の、フードを計り、そを見せに来たり。「計ったけど、いつもやってた目分量と同じぐらいだったよ」と言うゆえ、重量を尋ぬれば、袋に記されたる推奨重量60gという。
「そっそれは...............、袋に記されたるは、1日の量なのであるが(汗)」

倍も与えられておったニャン太であった。(滝汗)

ともあれこののちは、ようやく適正量の与えられることとなるのであった。

仔猫の10月(上)突如出現 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。