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茫然自失 [ハシビロコウ他動物]

2010年11月18日

上野に行った。
ここ数ヶ月は僅かな回数の、しかもゲリラ訪問を余儀なくされておるわれであるが、この日もその予定であって、滞在はせいぜい20分の見込まれり。午後3時40分頃入園してみれば、既にアフリカアパートの住民の帰宅後であった。者共を見舞えば、アサンテ・サーナ+Schuschの外日と思われたが、アサンテの既に帰宅、サーナ宅は玄関扉の開きて出入り自由であるにも拘わらず、サーナも既に自宅にておむすびと化しておった。寒きゆえ、無理も無し。向こう庭のSchuschひとり、屋外にて気を吐いておるのであるが、その動きはつまらなそうである。ハトゥーウェ宅・アサンテ宅間のドアは、大分以前にガラス部分の塞がれしによって、アサンテ帰宅後の、ハトゥーウェが動向の知り難し。逆側のミリーはといえば、実に実に外出したそうであって、玄関扉前をうろうろうろうろしておるのであった。
 
ふと見れば、飼育員氏のコハル宅庭を清掃中であったが、何しろいよいよ落葉の季節到来にて、掃いても掃いても落葉は一向に減らぬのであって、してみると者共が最終収容は当分あるまいと、われはとりあえずアフリカアパートの住民に挨拶したるのち、フラミンゴへと移動する。今年は全くフォローするを得なんだひなミンゴの、4名揃いて元気なり。生憎昨年生まれの009は最早われには全く判別不能(足番号を聞かねばなるまい.....)なれど、一昨年の2号は全く元気であって喜ばしき。移動の時期か、皆盛んに羽ばたきつつ走る。斯様なる時は、動物園住まいの侘しき。暫しフラミンゴに見入りしのち、われは豪亜南米雑居アパートへと移動する。最新のzoo-netニュースにて報じられたるナマケモノが赤子を見るためである。が、コウ女の、外イチョウの遥か上部にて休むを拝むのみであった。裏に回りて寝室を覗けば、地べたのツチブタ夫婦は例によりて爆睡状態、ヒデは鉄格子に取り付きて睡眠中であるが、そのヒデの顔面は、痛ましくもずるむけとなっておるのであった。ここで再度外に回り、又もフラミンゴを拝みしのち、真下よりコウ女を見上げるも、子の姿のうかがえず。そうこうする内、裏にて物音のせり。われは腕時計を見、4時と分かりて裏に回る。既に飼育員嬢の、ツチブタ夫婦を起こしにかかりたり。アルディの方は食事の匂いに誘われ自ら起き上がりて、飼育員嬢の後を追うて庭に出でたるが、ヨシコの方の、一向に目覚める気配無し。飼育員嬢の戻りて、ヨシコをせっせと起こすも、効果無し。恐らく既に床暖房の入りたるものと思われ、ヨシコは心地よき惰眠をむさぼっておるのであった。われはヒデのずるむけの気になりて、飼育員嬢が一連の作業を終えて出ずるを待ち構え、早速に尋ぬれば、何でも、どこぞで擦りむいたということらしい。膏薬をせっせと塗りておるゆえ、傷はてらてらと光りてさも重篤そうであるが、実際は顔であるから目立つものの、大した事はないとのことで、まずは一安心である。それから赤子の話となったのであるが、実は月曜(11/15)に死亡したるとの事で、仰天せり。超高齢出産であるから、どうも母乳の量或いは質が充分でなかったらしい。園では、基本的に親が育てておる内は、引き離し人工保育する事はせぬというが、残念である。まあ小獣館のスラウェシメガネザルの如く「介添保育」を試みるにしても、日中を外イチョウ上部にて過ごすコウ女であるから、相当に難しくはあったであろう。いずれにせよ、たった二週間強のこの世の暮らしであり、われは遂に会えず仕舞いであったが、愛らしき姿を見せてくれたるを衷心より感謝し、天上にて安らかなるを祈念する。がっくりと肩を落としつつ、われは新設されたる「豪亜南米雑居アパートニュース板」(われが勝手に命名)を見る。これはアフリカアパートでも同様であって、近頃は「マダガスカルニュース板」(われが勝手に命名)に刺激されたか、各アパートにニュース板の設置されたるは良き事である。此処のニュース板は2枚あり、片方は不忍池に近い住民板、もう片方が奥側の住民板であって、残り赤子死亡のニュースはこちらの板にて当然大きく書かれておるのであるが、その片隅には、われにとりて更に衝撃的ニュースのひっそりと記されたり。なんと、ミナミジサイチョウの女房の、10/09に死亡せりという。知らなんだ。全く知らなんだ。サイチョウはわがいちおしのひとつゆえ、ゲリラ訪問の度、見舞うておったのであるが、いつ見ても女房の姿の見えぬは、いつも通り巣箱に居るからだとばかり思うておった。折角若き夫を貰うたに、若き夫も近頃は咽喉袋のしっかりとして来、これは繁殖が楽しみと思うておったに。実に実に残念である。衷心よりサイチョウ女房を悼む。あの独特なる雰囲気をわれは愛でておった。女房には天上にてのんびりと歩き回られたい。同時に上野には、男やもめとなりたる若き亭主に、是非後添いを望む。昨日は、腰痛を以て最悪と記したるが、本日のこの衝撃の死亡ニュース2件、とりわけジサイチョウ死亡の方が、遥かに最悪であった。いちおしの死を、あろうことか一ヶ月も経ちてから知るなど、論外である。深く反省し、この上は何があろうとともかくせっせと訪問すべく決意するわれであった。

という訳で、めっこりと凹みつつ、時刻となりて出口へと向かうところ、者共が最終収容に向かう飼育員氏と出くわしたるゆえ、最終収容を拝む事とする。現在見合いの試みがなされているとのことで、まずはハトゥーウェとサーナの見合いのとり行われたるという。ハトゥーウェはなかなかやる気であったが、サーナに全くその気無しとのことであって、この見合いは不首尾に終わった。以前より度々触れたるが、わが個人的な考えでは、ハトゥーウェにはミリーが良きように思う。また、サーナはSchuschが良きように思うのであるが、ハトはともかくSchuschは、これは何を考えておるのか全く以て分からぬのであって、サーナの方は竹垣を挟んでSchuschと隣り合わせておっても、逃げ隠れもせず興味深気に見ておるのであるが(まあ単に「竹垣からこちらへは来れまい。ふっ」と思うておるのやも知れぬが)、一方のSchuschは、竹垣を盛んに攻撃し齧る。これが、竹垣への攻撃なのかサーナへの威嚇なのかサーナへの興味なのかさっぱり分からぬのである。そして見合いを試そうにも、Schuschは一旦攻撃に入ると、ハトゥーウェの如く相手を威圧したらそこそこのところで終わりにするという事がなく、徹底的であるゆえ、見合中はお仲人さんの立会必須である。ゆえになかなか厄介なのであった。相も変わらず、者共の難しきことである......................。

近頃はゲリラ訪問ゆえ、カメラを持たずに訪問しておるわれである。ゆえに今回は、厄払いの景気付けに、今年春のわがターノを掲げる。わがEmpressはご健勝にお過ごしである。2010年にして、未だに上野足環を付けしままであるところが、渡独以来の活動量を偲ばせ、気の毒なることである。が、Wuppertalはハシビロ放飼場の大規模改修を予定に入れておるゆえ、数年の内には、飛翔も叶う素晴らしき環境になると思われる。

Tano2010春2.jpg
☆ますます堂々のEmpress



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